patisserie,underground その先にあるのは

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「大切な日に食べたケーキを覚えていますか?」

貸してもらったラーメンズ「Sweet7」を見た。
ふとした時から彼らの魅力にどっぷり浸かってしまい、ハシモト君にもタケムラ君にも半分迷惑なくらいに勧めてしまった挙げ句、今では3人揃うとネタの台詞が止まらない関係ですが、小林賢太郎氏が作/演出を手がける「K.K.Produce」第2弾の本作、見た事がありませんでした。

ケーキ以外のものなら何でも作れるパティシエと、ここ数年、ケーキをつくったことがないパティシエと、普通のケーキしかつくれない普通のパティシエが、ケーキをめぐって巻き起こす七日間の物語。

導入からやばい。しかもテーマはケーキだ。なんてことだ!と、見る前にまわりに飲み物の類いを置かないように(吹くから)遠ざけ、食べていたヨーグルトも遠ざけ(なぜなら吹くから)、準備万端で、ラーメンズ「Sweet7」を見た。

そして笑えなかった。なんてことだ!
所々にやさしい(という表現がしっくりくる気がする)笑いが上品にちりばめられていて微笑ましいというかほくそ笑みながら見ていたし、それは面白くないとかいう天秤の上には乗らないものだと思ったけど、あらゆる所にパティスリーのエッセンスが溢れていて、所作のひとつひとつが丁寧に再現されていた。なんというか本当にありそうなケーキ屋の一場面、ケーキ屋を志す見習いのありがちな心情とありがちなエピソード、何もかもが自分の中の何かと決定的にシンクロして、自分はきっと数年前の自分に戻ってしまっていたみたいだ。この前店に行ったばっかりだし。


「甘いものは人を笑顔にするんだよ」
ありがちだとか理想だとか現実はだとか本当にどうでもよくて映像の終盤にはなぜか泣いていて、泣いているのにまた笑わせようとするもんだから変に咽せてしまってた。このタイミングでこれを見る事ができて本当によかったと思う。

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「明日ウチの子の誕生日なんです。」
「ケーキを予約したいんですけど実はイチゴが食べれないんです」
閉店間際にやって来たとある親子。「あ、じゃあラフランスのショートを作ってみましょうか。」「明日楽しみにしててくださいね。」ってどこが悪い。もてなすってそういうことじゃないのか。人を笑顔にしたいってそういうことだったんじゃないのか。

店が無くなってしまったって、そこにあった事さえ忘れられてしまったってそんな思いを抱いた人がいればいい。人に誠実な人がいればいい。そういう人達がまたお店を作って、そんなお店でいっぱいになればいいのにと思う。そう考えて燻った気持ちをちょっとだけ整理した。

甘く儚かったのはもうあの頃の話。


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鈴木健一 | suzuki kenichi
FICC所属、デザイン、アートディレクション担当。
写真と音と料理とラーメンズ好きな低血圧男子。
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