03:32 - October 8, 2009
note あなたに伝えたかった本当のこと
10月8日未明です、もうすぐ関東に台風が来るみたいです。出張から戻ってきた5日目の夜は嵐の前の静けさなのか、しんしんと降る小雨と雨をはじくタイヤの音だけが響いてます。ミラノに居た1日目の夜中も雨が降り続けていて、なんだかそれはまるで昨日のことのように思えてしまいます。
ANTEPRIMA 2010年春夏の今回はフクオカさんがインビテーションのイメージビジュアルとなる煙のモチーフをベースに真っ暗な会場に鮮やかな映像を20000ルーメンのプロジェクタ2台を使って投影。さらに初めての試みとしてUstでのショー中継を実施しました。前日のリハーサルでは、映像を投影するためのプロジェクタが認識しない、中継するためのPCがそもそもネットに接続できない、それ以前にケーブルの長さが全然足りないなど、諸々の問題はありましたが、深夜まで尽力してくださった現場のスタッフの皆様のお陰で、なんとか全てクリアすることができました。
そんなフィナーレを迎えて上がる歓声と拍手の中で感じたのは、本当に全ての事は人で成り立っているんだなっていう事。ショーのひと季節前からの準備、メインとなる服、バッグ、靴を作るデザイナー、それをまとって歩くモデル、彼女達の髪・メイク、キャットウォークへ送り出すタイミング、ウォーキング全体のリズムを決める音楽、舞台となる会場の施行、それを全て取りまとめる演出、言語はもとより考え方も習慣も違うそれぞれの人達を結びつけていたのは会話やメール、資料といったコミュニケーションでした。カタコトな英語で伝わる事は自分の意図した10%、5%かもしれません、それでも0じゃないんです、誤解や足りない穴を埋めたり埋めてもらったりを繰り返してお互いたどり着きたい地点に到達する事がまず最優先、仕事ですから話さなくては何も始まりません。
「おまえに足りないのは度胸だ」と、去年の社員旅行中ふと社長に言われました。僕は言い返せませんでした。それまでの自分は分からないところは人に頼って任せてしまう、分かってもらえないと感じた時は口を結んで黙ってしまう、要は人やコミュニケーションだけでなく多分仕事からも逃げていたんです。
そんな半端な自分が前回のシーズン足を引っ張ってしまいました。大勢の皆さんが積み上げてきた半年間の総まとめになる舞台で自分は何にも出来なかった。それが悔しかった。何の役にも立たなかった、前任の先輩の存在がどんなに大きかった事か。「その悔しさ絶対忘れるな」空港へのタクシーで言ってくださった言葉と一緒に半年間過ごしてきました。「じゃあ今回はどうだったのか」って言われたら僕には分かりません、それでも、ショーの日の夜お邪魔させていただいた打ち上げ会場で見たスタッフの皆さんの笑顔がいつまでも頭に残っていて、本当に素敵なショーだったなと思っています。
思えば、デザインを目指そうと思った時もそうでした。周りの子が誰もやっていない、お金がない、学校に行けない、講師に難しいと言われた、コンプレックスに負け稚拙な理由を並べて一度逃げ出して甘いクリームとカロリーのスポンジばっか作っていた自分がそれでも飛び込んでみたいと思ったのは、ただ単に作るのが楽しかったからでした。純粋に好きだったんですね。何の制約もないまっ白な状態から作り上げるそれはデザインとは呼べないかもしれませんが、無心でひたすらに作り続けていた当時の自分はそれはそれで幸せだったのではないでしょうか。仕事に追われる毎日は忙しなく充実しているかもしれませんが、カーニングもグリッドも禁則処理も無茶苦茶なままプリントしたクリスマスケーキ予約のパンフレットを人に見せていた当時の自分が持っていた、言われもない高揚した気持ちは無くなってしまっていたのかもしれません。
先月そんな事を思い出させてくれる人に会いました。
仕事にしてしまう事で増えてしまう色々なしがらみに縛られる事無くその先を思い描く、これから全てが始まる自分と真剣に向き合っている姿を見ていたら、無垢というかなんかいいな、って、そういう気持ちをいつまでも持っているだけで充分なのかもしれないなって感じました。
そりゃ迷いもあります。自分がどう思われているかもいちいち気にするし、周りの同世代を見渡して焦りもします。それでも自分が作ったものに対して「自分が今好きなものです」って言える事って大切で、自分の行動が絡む事についてはどんな事に対しても悔いを残さず、納得できる形をまず貫く、さらにそれが、みんなで共感できる、納得できるものに昇華できる、そんな仕事が出来ればといいなって考えています。
そしてこの先いつ途絶えるかも分からないサイコロみたいな自分の生涯を見据え目的を定め、やるべき事を積み重ねて行く環境と機会を与えてくれたFICCとメンバーのみんなと、考え方の道標になってくれたかけがえの無い何人かの方に感謝しつつ、25回目の10月を過ごして行こうと思います。
風が窓を揺らして、外は雨音が強まって遠雷が響くようになりました。朝の電車が止まらない事を切に祈りつつ、おやすみなさい。











