note 走り出したら

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子供を抱きかかえて病院の庭から駅へ歩く。大きな音を響かせて空に花火が上がるけれどもびっくりもせず穏やかに笑う彼を見ていて、自分には不相応な幸せなんじゃないかって表しようのない気持ちになる。って夢で目覚めたいつもより早い金曜の朝。

花の話をすると前野博紀さんの言っていた事も一緒に思い出す。去年の春行ったミッドタウンのガレリアでの展示でフラワーアレンジ前のパネルに書かれていた「花は、人なり。人は、花なり。」って言葉がなんだかしんと響く。彼が言うには、生け花に至っては植物を傷付ける(採取する)所からプロセスが始まり、切り取った素材(植物)を、花道家の思考の元、自然環境から離れた別空間に別の形として再構築するみたい。当時はそんな一連の流れについて、アニミズムの捉え方に近いなあと考えていた。

生物・有機物・無機物を問わない全てのものの中に命や魂があるのなら、素材として撮った写真でも、ロゴとして提供されたベジェのデータでも、拙いパワポで作った企画にでも、全てが同じように命を持っていて、自分はそれを「生ける」側として本当に生かす事ができる生け方を出来ているのかって思う。つい最近スバルさんがつぶやいていた言葉が頭の中を巡る。

毎回、これが最後の仕事だって覚悟が、足りてない。クライアントが人生かけてプロダクトを作っているのだから、俺も同等かそれ以上の覚悟を並べるべきだ。

物事が許容できる範囲を超えつつある。それでもひとつひとつの事にもっと真摯に向き合うべきだと思う12月。師も友も、彼も彼女も走っている。走り続けるには寒くて長い冬、きっと気がついたら春になっているでしょう。寒さに身を縮めるより、目の前の事に身構えるより先に出来ること、いっそ寒さすら感じない程に走っていけたらいいんじゃないか、マラソン終盤のスパートばりに走り続けて、いつかポッと蕾が綺麗に咲けるような日がくればと思う。今年はあと何ができるだろう。2009年、まだ終わっちゃいない。
そんな金曜日。いつの日も、悔いのない時間でありますように。


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鈴木健一 | suzuki kenichi
FICC所属、デザイン、アートディレクション担当。
写真と音と料理とラーメンズ好きな低血圧男子。
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